子どものケガは、夕方から夜、休日、災害時など「すぐに病院へ行きにくい時間」に起こることがあります。特に、休日はお出かけやスポーツをする機会が多く、ケガの頻度も高くなります。地震や台風、大雨、停電のときは、割れたガラス、倒れた家具、暗い室内での転倒、避難中のつまずき、調理器具によるやけどなど、普段よりケガのリスクが高くなります。
大切なのは、慌てずに「安全確保」「出血の確認」「意識や呼吸の確認」「受診が必要なサインの確認」を順番に行うことです。応急処置は、病院に行かなくてもよいという意味ではなく、医療につながるまでの間、ご両親が子どもを守るための対応です。
まずは安全な場所へ移動する
ケガをした子どもを見ると、すぐに処置をしたくなります。しかし災害時は、ケガをした場所自体が危険なことがあります。割れたガラス、落下物、倒れそうな家具、火災、浸水、余震の危険がある場合は、二次災害を防ぐためにも、親子ともにまずは安全な場所へ移動してください。
ただし、意識がない、首や背中を強く痛がる、手足が動かない、しびれがある場合は、首や背骨を痛めている可能性があります。無理に起こしたり、抱き上げたりせず、周囲の安全を確保しながら119番に相談してください。
出血しているときは「直接押さえる」
止血の基本は、圧迫です。出血がある場合は、清潔なガーゼやタオル、ハンカチを傷口に当て、手でしっかり押さえます。消防庁などの応急手当でも、外から見える出血には傷口を直接圧迫して止血する方法が基本とされています。この時注意すべきは、指先の出血です。受診時に、指の根元に輪ゴムをかけて受診する方がみえますが、これは逆効果です。必ずし、出血部位を直接押さえましょう。
ポイントは、途中で何度も傷をのぞかないことです。5〜10分ほどしっかり押さえ、血がにじんでもガーゼを外さず、上から追加します。可能であれば使い捨て手袋を使い、なければビニール袋を手にかぶせると感染予防になります。
10分以上しっかり押さえても止まらない、血が噴き出す、傷が深い、ガラスや木片が刺さっている、顔や目の周りのケガ、動物にかまれた場合は、早めに救急相談や医療機関へ連絡してください。刺さっている異物は、抜くと出血が増えることがあるため、無理に抜かなくても大丈夫です。
すり傷・切り傷は「洗う」が大切
すり傷や切り傷には、泥、砂、ガラス片、木くずなどが入っていることがあります。まず可能であれば、流水や清潔な水で傷を洗い、汚れを落とします。消毒液を使う必要はなく、汚れをしっかり洗い流すことが大切です。
洗ったあとは、清潔なガーゼや絆創膏で保護します。ワセリンがあれば、擦り傷に塗っておくと乾燥を防ぎ、ガーゼが傷につく痛みが緩和されます。傷の赤み、腫れ、痛みが強くなる、膿が出る、発熱する場合は、感染の可能性があるため受診してください。
断水時は、ペットボトルの水や保存水を使います。水が限られていても、泥や砂がついた傷はできるだけ洗い流しましょう。
やけどはすぐに冷やす
夜間や災害時は、カセットコンロ、熱湯、ホットプレート、ストーブ、停電中の調理などでやけどが起こりやすくなります。子どもの皮膚は大人より薄く、やけどが深くなりやすいため注意が必要です。消費者庁も、加熱調理器具は使用後もしばらく高温のことがあり、子どもが触れないよう注意を呼びかけています。
やけどをしたら、できるだけ早く流水で冷やします。できれば20分程度冷やしましょう。冷やすことによりやけどが深くなるのを防ぎ、痛みを和らげることができます。服の上から熱湯を浴びた場合は、無理に脱がさず服の上からシャワー等で冷やしてください。水ぶくれはつぶさず、何も塗らないでください。受傷部位は腫れてきますので、指輪や時計などは、外しておきましょう。
顔、手、足、陰部、関節のやけど、広い範囲のやけど、水ぶくれが大きい、皮膚が白い・黒い、乳幼児のやけどは、早めに医療機関へ相談してください。
骨折・捻挫が疑われるときは動かさない
転倒や家具の下敷きのあと、強い痛み、皮下出血、腫れ、変形、動かせない、歩けない、手足を使わない、指先や足先が冷たい・青白い・しびれる場合は、骨折や脱臼の可能性があります。
この場合、無理に動かしたり、変形を元に戻そうとしたりしないでください。段ボール、雑誌、新聞紙、傘などを添え木代わりにして、一番痛みの少ない姿勢のまま固定します。腫れている場合は、タオルで包んだ保冷剤などで冷やします。
頭をぶつけたときは「その後の様子」を見る
頭をぶつけたあと、すぐに泣いて、その後いつも通りであれば、家庭で様子を見られることもあります。ただし、少なくとも1〜2日は安静にして、嘔吐、痙攣、意識、歩き方、機嫌、眠り方を観察します。こども家庭庁も、頭の打撲後に意識があって元気でも、1〜2日は安静にして様子を見るとしています。
意識がない、呼びかけへの反応が悪い、けいれん、繰り返す嘔吐、強い頭痛、歩き方がおかしい、出血が止まらない場合は、迷わず119番や医療機関に相談してください。
夜間・災害時の判断で迷ったら
「朝まで待ってよいのか」「救急に行くべきか」で迷う場合は、かかりつけ医への相談、#800への電話相談、自治体の救急相談窓口や119番に相談してください。特に、意識が悪い、呼吸が苦しそう、大量出血、けいれん、強い痛み、ぐったりしている場合は、ためらわず救急要請が必要です。
受診時には、何時に、どこで、どのようにケガをしたか、吐いたか、意識はどうだったか、行った応急処置、持病、内服薬、アレルギーを伝えられると診療がスムーズです。余裕があれば、事故現場の写真を撮影するなど、スマホのメモに残しておくと安心です。
防災バッグに入れたいケガ対応セット
災害時に備えて、使い捨て手袋、滅菌ガーゼ、絆創膏、包帯、医療用テープ、防水フィルム、清潔な水、小型ライト、保冷剤、ポリ袋、常備薬、お薬手帳やマイナンバーカード・医療証のコピーをまとめておきましょう。マイナンバーカードは、災害時に非常に有効です。
https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/utilization/emergency
夜間は暗さでケガが増えます。寝室や廊下にすぐ使えるライトを置き、子どもの寝る場所の近くに割れ物や重い物を置かないことも、立派な応急処置の一歩です。
まとめ
災害時や夜間に子どもがケガをしたら、まず安全な場所へ移動し、意識・呼吸・出血を確認します。出血は清潔な布で直接圧迫し、すり傷や切り傷は流水や清潔な水で洗います。やけどは早く冷やし、骨折が疑われる場合は無理に動かさず固定します。頭をぶつけた後は1〜2日様子を見て、嘔吐、けいれん、意識障害、歩き方の異常があれば早めに相談しましょう。






























