子どもの発熱で「溶連菌かも」と心配な方へ
子どもが発熱すると、「溶連菌では?」「検査した方がいい?」と不安になる保護者の方は多いと思います。特に、通園中の園に「溶連菌」が流行していると聞けばなおさらです。
溶連菌感染症は、正式にはA群溶血性レンサ球菌咽頭炎と呼ばれ、主に幼児から学童期の子どもに多い感染症です。発熱、強いのどの痛み、飲み込むときの痛み、首のリンパ節の腫れ、腹痛、頭痛、嘔吐、発疹などを伴うことがあります。
ただし、発熱している子ども全員に溶連菌検査が必要なわけではありません。大切なのは、発熱があるかどうかではなく、溶連菌らしい症状があるかどうかです。
発熱だけで溶連菌検査をしない理由
溶連菌の検査は、症状や診察所見から溶連菌感染症が疑われる場合に行います。
たとえば、次のような症状がある場合は、溶連菌を疑います。
- 急な発熱
- 強いのどの痛み
- 飲み込むと痛い
- 扁桃が赤い、白いものが付いている
- 首の前側のリンパ節が痛い
- 腹痛、頭痛、嘔吐を伴う
- 細かい赤い発疹がある
- 舌が赤くブツブツしている
一方で、咳、鼻水、声がれ、結膜炎、下痢などが目立つ場合は、ウイルス感染の可能性が高く、一般的には溶連菌検査の必要性は低くなります。CDCやIDSAのガイドラインでも、明らかにウイルス感染を疑う症状がある場合は、溶連菌検査は通常すすめられていません。
つまり、「熱があるから検査」ではなく、「溶連菌を疑う症状があるから検査」が基本です。
「溶連菌検査陽性=今の感染」とは限りません
ここは、保護者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。
子どもの中には、症状がなくても、のどに溶連菌を持っている保菌者がいます。
この場合、実際にはウイルス性のかぜで発熱していても、たまたま検査で溶連菌が陽性になることがあります。
つまり、溶連菌検査が陽性でも、それが今の発熱や体調不良の原因とは限らないのです。
東京都感染症情報センターの資料でも、健康保菌者が一定数存在し、検査では「本当の感染」と「保菌」を区別できないことがあるとされています。
発熱全員に溶連菌検査をすると何が起こる?
発熱している子ども全員に溶連菌検査を行うと、本来は治療対象ではない保菌者まで拾い上げてしまうことがあります。溶連菌検査が陽性=溶連菌感染症では必ずしもないのです。
その結果、次のような問題が起こることがあります。
- 不要な抗菌薬が処方される
- 「溶連菌を何度も繰り返している」と誤解される
- 家族が過度に不安になる
- 登園・登校の判断が複雑になる
- 抗菌薬による下痢、発疹、アレルギーなどのリスクが増える
抗菌薬は、必要なときにはとても大切な薬です。
しかし、必要でないときに使うと、子どもにとって負担になることがあります。
溶連菌感染症と診断されたら治療は必要です
症状や診察所見から溶連菌感染症が疑われ、検査で陽性となった場合は、抗菌薬による治療を行います。
治療の目的は、症状を早く改善すること、周囲への感染を減らすこと、リウマチ熱などの合併症を予防することです。
処方された抗菌薬は、自己判断で途中でやめず、医師の指示通りに内服することが大切です。
溶連菌罹患後に尿検査は必要?
以前は、溶連菌感染症のあとに「腎炎がないか確認するため、2〜3週間後に尿検査をしましょう」と説明されることがありました。
しかし現在は、症状のない子ども全員に、毎回尿検査を行う必要性は高くないと考えられています。専門家解説でも、溶連菌感染後のスクリーニング目的の尿検査にはエビデンスが乏しく、有症状者に行うのが適切とされています。
ただし、次のような症状がある場合は受診が必要です。
- 尿がコーラ色、紅茶色のように濃い
- まぶたや顔、足がむくむ
- 尿の量が少ない
- 頭痛や強いだるさが続く
- 血圧が高いと言われた
このような場合は、溶連菌感染後急性糸球体腎炎などを考えて、尿検査や血液検査を行います。
まとめ:溶連菌は「検査」より「診察初見」が大切です
子どもの溶連菌検査は、発熱だけで行うものではなく、強いのどの痛み、扁桃の赤み、首のリンパ節の痛み、腹痛や嘔吐など、溶連菌らしい症状がある場合に検討します。咳、鼻水、声がれ、結膜炎などが目立つ場合はウイルス感染の可能性が高く、検査の必要性は低くなります。また、子どもには溶連菌の保菌者がいるため、検査陽性でも今の発熱の原因とは限りません。症状のない子ども全員に、溶連菌感染後の尿検査を毎回行う必要性も高くありません。
お子さんの発熱やのどの痛みで迷うときは、検査だけに頼るのではなく、症状全体を見て判断してくれる小児科にご相談ください。





























