保育園に通い始めてから発熱が増えるのは、よくあることです
「保育園(幼稚園)に預け始めたら、すぐ熱を出すようになった」
「治ったと思ったら、また鼻水・咳・発熱」
「うちの子は免疫が弱いのでは?」
保育園に通い始めたお子さんの保護者から、とてもよく相談される内容です。
結論から言うと、保育園に入園してから発熱や風邪の回数が増えることは、多くの場合、自然な経過です。特に0〜2歳のお子さんは、まだ多くのウイルスに出会った経験が少なく、集団生活の中で感染症にかかる機会が一気に増えます。
ただし、すべてを「保育園に入ったから仕方ない」で済ませてよいわけではありません。発熱の頻度だけでなく、熱の続き方、元気さ、食欲、体重の増え方、重い感染症を繰り返していないかを確認することが大切です。
子どもは年間何回くらい風邪をひく?
小さな子どもは、大人よりも風邪をひく回数が多いです。
目安として、生後2年間の子どもは年間8〜10回ほど風邪をひくことがあるとされています。
一方で、年長児や大人では、上気道感染症の回数は平均して年間4回程度に減っていきます。
つまり、0〜2歳で保育園に通い始めた場合、月に1回前後、時期によってはそれ以上、鼻水・咳・発熱を繰り返すことがあります。
これは、免疫が弱いというより、これまで出会っていなかったウイルスに次々と出会っている状態と考えるとわかりやすいです。
「鎧や盾を装備せずに、戦場で矢の雨の中に突進していくような感じ」
私は、時々外来でそのような表現をしています。
年齢別:保育園で熱を出しやすい時期の目安
| 年齢 | 感染症の特徴 | 保護者が知っておきたいこと |
|---|---|---|
| 0〜1歳 | 初めて出会うウイルスが多く、発熱・鼻水・咳を繰り返しやすい | 月齢が低いほど注意が必要。特に3か月未満の発熱は早めに受診 |
| 1〜2歳 | 集団生活で感染機会が増え、最も体調を崩しやすい時期のひとつ | RSウイルス、胃腸炎、手足口病、中耳炎なども増えやすい |
| 3〜5歳 | 少しずつ免疫経験が増え、頻度は減ってくることが多い | ただし流行期には発熱を繰り返すこともある |
| 小学生以降 |
感染症の回数は徐々に減る インフルエンザはかかりやすい |
風邪の頻度は大人に近づいていく 百日咳、マイコプラズマに注意 |
保育園やこども園では、子ども同士の距離が近く、おもちゃの共有、鼻水・よだれ、手指を介した接触などにより、感染症が広がりやすくなります。
特に入園後半年〜1年は、感染症にかかる回数が増えやすい時期です。
保育園に行くと感染症が増える理由
保育園で感染症が増えやすい理由は、主に次の4つです。
1. 免疫がまだ発達途中だから
小さな子どもは、まだ多くのウイルスや細菌に出会っていません。
感染を経験しながら、少しずつ免疫が学習していきます。
2. 子ども同士の距離が近いから
乳幼児は、顔を近づけて遊んだり、同じおもちゃを触ったり、口に入れたりします。
そのため、鼻水や唾液を介して感染が広がりやすくなります。
3. 手洗いや咳エチケットがまだ難しいから
年齢が低いほど、自分で十分に手洗いをすることや、咳・くしゃみを上手に防ぐことが難しいです。
4. 症状が出る前からうつる感染症があるから
風邪のウイルスは、症状がはっきり出る前や、治りかけの時期にも周囲に広がることがあります。そのため、完全に感染を防ぐことは難しいのが現実です。
毎月のように熱を出すのは異常?
毎月のように熱を出すと、保護者としてはとても心配になります。ただし、次のような経過であれば、多くは一般的な感染症の範囲内です。
- 発熱は2〜4日程度で下がる
- 熱が下がると元気になる
- 感染と感染の間は普段通りに遊べる
- 食欲や睡眠が回復する
- 体重が増えている
- 入院が必要な感染症を繰り返していない
反対に、回数が多いだけでなく、治りにくい、重症化しやすい、成長が悪いという場合は、詳しい確認が必要です。私たちが重視するものを一つあげるなら、「見た目に元気かどうか」です。
「免疫が弱い病気」を疑うのはどんな時?
多くのお子さんは、保育園で感染症にかかりながら、少しずつ丈夫になっていきます。
しかし、まれに免疫の働きや体の状態を詳しく調べた方がよい場合があります。
次のような場合は、小児科で相談してください。
- 1年に何度も中耳炎を繰り返す
- 肺炎を繰り返す
- 抗菌薬を使っても治りにくい感染症がある
- 点滴や入院が必要な感染症を繰り返す
- 体重が増えない、成長が悪い
- 口内炎、皮膚の膿、深い感染症を繰り返す
- 家族に免疫不全症などの病気がある
- 感染と感染の間もずっと元気がない
「よく熱を出す」だけで、すぐに免疫の病気というわけではありません。
大切なのは、発熱の回数だけでなく、重症度と回復の様子を見ることです。
すぐ受診した方がよい発熱のサイン
以下のような場合は、早めに受診してください。
- 生後3か月未満の発熱
- ぐったりしている
- 呼びかけへの反応が悪い
- 呼吸が苦しそう
- 水分がとれない
- 半日以上尿が少ない
- けいれんを起こした
- 顔色が悪い
- 発熱が5日以上続く
- 強い腹痛、頭痛、首の痛みがある
- 発疹を伴い、元気がない
特に小さなお子さんは、症状の変化が早いことがあります。
「いつもと違う」と感じる場合は、無理に様子を見すぎず、小児科に相談しましょう。
家庭でできる感染対策
保育園での感染をゼロにすることは難しいですが、家庭でできる対策はあります。
- 帰宅後、食事前、トイレ後に手を洗う
- 鼻水を拭いた後は手を洗う
- タオルやコップを家族で共有しない
- 睡眠時間をしっかり確保する
- 食欲がない日は無理に登園しない
- 定期予防接種を予定通り受ける
- インフルエンザなど季節性ワクチンも検討する
- 咳や鼻水が強い日は早めに休養する
感染対策で最も大切なのは、特別なサプリメントや高価な対策ではなく、手洗い、睡眠、栄養、予防接種、無理をしない登園です。
保育園に預けるのが悪いわけではありません
お子さんが何度も熱を出すと、
「保育園に預けるのが早すぎたのかな」
「仕事を休んでばかりで申し訳ない」
「自分の育て方が悪いのでは」
と感じる保護者も少なくありません。
しかし、保育園に通い始めて感染症が増えるのは、多くの子どもが経験することです。
保護者のせいではありません。
集団生活の中で感染症に出会いながら、子どもは少しずつ免疫を育てていきます。
大切なのは、不安を一人で抱え込まず、必要な時に相談できる場所を持っておくことです。
まとめ:保育園後の発熱は多くの場合よくある経過。ただし受診目安は大切
保育園に通い始めてから熱を出す回数が増えることは、多くの場合、自然なことです。
特に0〜2歳では、年間8〜10回ほど風邪をひくこともあります。保育園預け始めた最初の月に2~3回の風邪をひくことはよくあることです。
一方で、次のような場合は注意が必要です。
- 発熱が長引く
- ぐったりしている
- 水分がとれない
- 体重が増えない
- 肺炎や中耳炎を繰り返す
- 入院が必要な感染症を繰り返す
「よく熱を出す=すぐに大きな病気」ではありません。
ただし、「いつもの風邪と違う」「何となく心配」という保護者の感覚も大切です。
気になる時は、発熱の回数、熱の続いた日数、咳や鼻水の経過、食欲、体重の増え方、保育園での流行状況をメモして、小児科でご相談ください。
よくある質問
Q. 保育園に入ってから毎月熱を出します。大丈夫ですか?
A. 入園後しばらくは、毎月のように発熱することがあります。熱が数日で下がり、熱のない時は元気で、体重も増えている場合は、多くは一般的な感染症の範囲です。
Q. 風邪をひきすぎると免疫が弱くなりますか?
A. 通常の風邪を繰り返すことで、免疫が弱くなるわけではありません。むしろ、さまざまなウイルスに出会いながら免疫が学習していきます。ただし、重い感染症(肺炎、扁桃炎)を繰り返す場合は相談が必要です。
Q. 何回くらい熱を出したら検査が必要ですか?
A. 回数だけでは判断できません。熱の期間、重症度、入院歴、体重増加、感染の合間の元気さを総合的に見ます。心配な場合は、発熱の記録を持って小児科で相談してください。
Q. 鼻水や咳だけでも保育園を休ませるべきですか?
A. 元気があり、食事や睡眠がとれていて、保育園生活に参加できる状態なら登園可能なこともあります。ただし、発熱、強い咳、ぐったり、水分がとれない、感染症ごとの登園基準がある場合は休養が必要です。
Q. 免疫を強くする薬やサプリはありますか?
A. 風邪を完全に防ぐ薬やサプリは基本的にありません。大切なのは、睡眠、栄養、手洗い、予防接種、無理をしない生活です。特定のサプリを使う前に、小児科で相談しましょう。





























